次世代リーダーのために必要なリベラルアーツ思考とは?

次世代リーダーを育成することは、どの組織にとっても重要なテーマだ。長期的に見て組織が持続可能な形で続いていくためにも、短期的に「自分の仕事を楽にする」ためにも、次世代のリーダーを排出することは欠かせない。

一方で、リーダーに求められる素養は変化している。VUCAとも叫ばれているが、特に企業が置かれている環境は大きく変わっていることが要因だ。

・持続的な成長を続けるため、より長期的、よい広範囲のステークホルダーへの想像

・高度なデジタル技術や生成AIを活用することを前提として素早い変革

・多様な生き方、価値観を受け入れ、それぞれに合った人材活用、マネジメント

など、現代のリーダーには様々なことが求められる。変化する環境の中で、自部門・自社という範囲で部分最適をするのではなく、全社・社会全体など、より広範囲で全体最適を考えることが難しさの源泉でもある。

こういった答えのない問いに向き合い続け、決断していくことが、次世代リーダーに必須の力。そしてこの力を養うためには、知識を蓄えるだけではなく、知性を磨くことが重要で、すなわちリベラルアーツを身につけることだといえる。

次世代リーダーは「次世代経営者」だけではない

次世代リーダーといっても、人によっては想像する人物像が違うかもしれない。ここで指している次世代リーダーとは

・経営者幹部層

・新任課長などマネジメントに関わり始める層

・新たな事業、組織を引っ張る起業家

などを想定する。

リベラルアーツはなぜ重要?

リベラルアーツという言葉は日本語で定義することが難しい。「教養」と訳すことに違和感を唱える人も多い。古代ギリシャに端を発する自由七科のことであるが、これは奴隷から開放されて自由になる学問であった。

では、自由になるとはどういうことか。奴隷とは、人間としての権利が認められず、他人の所有物として支配に服し、労働を強制され、譲渡・売買の対象とされた身分である。奴隷の対義語はエレウテロス=自由民と呼ばれる身分だった。

奴隷=既存の仕組みの中で機械的に役割を遂行する

自由民=自らの意志でやるべきことを考え行動する

と捉えると、自由になる学問とは、既存の仕組みの中で遂行する力ではなく、自ら考えて行動するために必要な学問と捉えることができる。

リベラルアーツを身につけるには?

では、どうしたらリベラルアーツは身につくのだろうか。筆者は大きく2つのステップがあると考えている。

①多様な考え方の型を知る

②目の前のことと学んだことを紐づけて考える習慣づくり

多様な考え方の型を知るというのは、書籍を読む、人の話を聞くといった行為を通して、世の中・物事の捉え方の幅を広げるということに近い。ある一つの事象が起きたときに、解釈は様々である。例えば、有名な「レンガ職人」の話では、レンガを積むという仕事の目的や意義をどう捉えるかといった教訓を伝えるように、物事には多面的な解釈ができる。その解釈の種類を自分の中で持つことが、まずは重要だ。

一方で、そこで知った解釈の仕方を、自分の目の前で起きたことに適応するには、訓練が必要だ。だからこそ、目の前のことと学んだことを紐づけて考える習慣をつけることが重要になる。勤勉な人であっても、多くの人がこの訓練が不十分である。

さらにいえば、①の前ステップゼロとして、様々な事柄に興味を持つことが大前提になる。

一人で考えるよりもみんなで学ぶほうが早い

リベラルアーツは一人で身につけることもできるかもしれない。ただし、みんなで学ぶほうが圧倒的に早くて効率的だ。目の前のことと学んだことを紐づけて考えるときに、一人で考えていても難しいことが、他の人も一緒に考えることで、ガイドラインになる。また、一人ひとりが導き出す解の多様性を、自分も真剣に考える場だからこそ体感できる。

ドコモグループの提供する「リベラルアーツ思考ビジネスプログラム」は、まさに複数人でリベラルアーツを身につけるためのプログラムだ。

https://gacco.co.jp/service/liberalarts/

このプログラムでは、100を超える豊富な動画講義により、忙しいビジネスパーソンでも自分のペースで様々なものの捉え方を学ぶことができる。さらに、月に1度開催されるワークショップでは、課題となる動画で考え方を学んだ後、特定のケースにおいてその考え方を活用してチーム毎に答えを出すケースラーニングを行う。答えのない問いに対して向き合い、時間の中で決断をする訓練となる。

企業の中で次世代リーダー複数名に向けて実施するものと、複数の企業から数名ずつ集まり実施するものの二種類がある。社内での対話を深めたいか、越境経験を積ませたいかで用途は異なるが、リベラルアーツを身につけるという趣旨は変わらない。

どのようなプログラムか実際に体験するプログラムも提供しているので、これからの時代を生き抜く次世代リーダーの育成を考えている人事担当者にはぜひ体験してもらいたい。